1. 本人控除および扶養親族控除額の変更
01/01/2026から適用(2026年課税年度)
| 控除区分 | 旧基準 | 新基準 |
| 納税者本人控除 | 月額1,100万VND | 月額1,550万VND |
| 扶養親族控除 | 月額440万VND | 月額620万VND |
政令第253号では、扶養親族の範囲も拡大されています。18歳未満の子に加え、18歳以上の子についても、民事行為能力を欠く場合、障害がある場合、または就労不能である場合には控除対象となります。従前は、障害があり、かつ就労不能である子に限られていました。
扶養親族の当該年におけるすべての所得源から算定した月平均所得は、300万VND以下でなければなりません。従前の基準は100万VND以下でした。
法的根拠:決議第110/2025/UBTVQH15号、2025年個人所得税法(法律第109/2025/QH15号)。扶養親族に関するガイダンス:政令第253/2026/ND-CP号第47条第2項および通達第87/2026/TT-BTC号第3条第1項
2. 累進税率表を7段階から5段階に簡素化
01/01/2026から適用(2026年課税年度)
| 区分 | 月次課税所得(百万VND) | 年間課税所得(百万VND) | 税率 |
| 1 | 10以下 | 120以下 | 5% |
| 2 | 10超30以下 | 120超360以下 | 10% |
| 3 | 30超60以下 | 360超720以下 | 20% |
| 4 | 60超100以下 | 720超1,200以下 | 30% |
| 5 | 100超 | 1,200超 | 35% |
法的根拠:2025年個人所得税法(法律第109/2025/QH15号)第9条。
3. 医療費および教育費に係る控除の新設
居住者について2026年課税年度から適用
居住者は、本人および扶養親族のために支出した医療費ならびに教育・研修費を課税所得から控除することができます。
| 支出項目 | 控除上限額 | 要件 |
| 診察・治療費 | 年間2,300万VND | ベトナム国内の医療機関で発生し、健康保険の給付対象リストに含まれること |
| 教育・研修費 | 年間2,400万VND | ベトナム国内の教育・研修機関で発生すること |
重要な留意事項:
- 支出が健康保険の給付対象一覧に含まれることが要件であり、実務上の大きな制約となります。すべての診察・治療費に係るインボイスが控除対象となるわけではありません。
- 当該支出は、組織または個人による助成、支援もしくは代理支払、国家予算、社会保険基金、健康保険基金、その他いかなる形態の保険給付を含め、他の財源から補填されていないことが必要です。
- 支出は発生した年に控除され、翌年へ繰り越すことはできません。
- 適法なインボイスおよび証憑書類が必要です。
- この控除を適用するには、従業員が税務当局に直接、個人所得税の確定申告を行う必要があり、雇用主に委任することはできません。
法的根拠:政令第253/2026/ND-CP号第49条第2項
4. 時間外労働および深夜労働の給与に係る個人所得税の非課税措置
居住者:01/01/2026から、非居住者:01/7/2026から
これは単なるガイダンスの追加ではなく、抜本的な変更です。
| 従前規定(2007年個人所得税法) | 新規定(2025年個人所得税法及び政令第253号) | |
| 免税範囲 | 通常の日中勤務又は所定労働時間に対応する賃金を上回る部分のみ免税 | 時間外勤務及び深夜勤務に係る給与・賃金の全額を免税 |
| 算定方法 | 通常の時間給に対応する金額と超過部分を区分する必要があった | 区分不要 |
| 未消化年次有給休暇に対する支払 | 規定なし | 免税 |
適用条件:
- 深夜労働および時間外労働は、労働法に定める条件および労働時間の上限を遵守しなければなりません。
- 深夜労働時間は22時から翌日6時までと定義されます。この時間帯以外の夜勤手当で、時間外労働手当に該当しないものは、非課税の対象外です。
- 所得を支払う組織および企業は、深夜労働・時間外労働の時間と対応する支給額を明記した明細表を作成しなければなりません。明細表は支払者が保管し、税務当局から要請があった場合に提示する必要があります。
- 個別の明細表を作成しない場合、支払者は給与台帳、勤怠表、労働契約書その他の適法な書類により支給額を立証しなければなりません。
法定上限を超える部分は非課税の対象となりません。深夜労働手当、時間外労働手当または未消化年次有給休暇に対する支払額が法定上限を超える場合、その超過分は課税所得に算入されます。
法的根拠:2025年個人所得税法第4条第8項、政令第253/2026/ND-CP号第26条。時間外・深夜労働の賃金率:2019年労働法第98条、未消化年次有給休暇に対する支払:2019年労働法第113条第3項。追加参考資料:ニンビン省税務当局が26/5/2026付で発行した公文書第7077/NBI-QLDN3号。
5. シフト中の食事手当および昼食手当の非課税限度額の引上げ
01/7/2026から適用
| 旧基準 | 新基準 | |
| 現金支給 | 1人当たり月額73万VND | 1人当たり月額120万VND |
上記限度額を超える部分のみが課税所得に算入されます。
雇用主が食事を現物で提供する場合(自社調理、食事の購入または食事券の交付)、金額上限は設けられず、当該給付は個人の課税所得に算入されません。
法的根拠:政令第253/2026/ND-CP号第8条第2項g号。適用開始日は同政令第69条第1項b号に規定されています。
6. 法定額を超える退職手当および失職手当を課税所得から除外
居住者:2026年課税年度から適用
企業が財務規程、社内規程、労働契約または労働協約において、労働法上の水準を上回る退職手当または失職手当を具体的に定めている場合、実際に支給された法定水準の超過部分も課税所得から除外されます。
従前、退職手当および失職手当は、労働法および社会保険法に定める金額までのみ非課税とされ、超過分には個人所得税が課されていました。
前提条件:企業内に書面による根拠規定が存在することが必要です。対応する社内規定がないまま法定額を超えて支給した場合、その超過分は引き続き課税対象となります。
法的根拠:政令第253/2026/ND-CP号第8条第3項h号。
7. 臨時所得に対する10%源泉徴収基準額の引上げ
01/7/2026から適用
| 旧基準 | 新基準 | |
| 10%源泉徴収基準額 | 1回の支払額が200万VND以上 | 1回の支払額が500万VND以上 |
適用対象:組織および個人(支払者)が、労働契約を締結していない、または契約期間が3か月未満である居住者(受領者)に対し、給与、賃金、報酬その他の金銭を支払う場合(労働契約終了後に元従業員へ所得を支払う場合を含む)。
誓約書制度:個人の所得が10%源泉徴収の対象となる所得のみであり、本人控除および扶養親族控除後の合計課税所得が納税義務の発生する水準を下回ると見込まれる場合、所定様式の誓約書を所得支払者に提出することで、当面の源泉徴収を行わない取扱いを受けることができます。
確定申告が不要となる場合:臨時所得の月平均額が1,500万VND以下で、かつ10%が源泉徴収済みである個人は、当該所得について確定申告を行う必要がありません。
法的根拠:政令第253/2026/ND-CP号第50条第2項(源泉徴収基準額および誓約書制度)、同政令第51条(確定申告不要の場合)。従前の規定:政令第65/2013/ND-CP号。
8. 01/7/2026より前に提出した月次・四半期税務申告書の再提出は不要
01/01/2026から01/7/2026より前までの期間に、従前の規定に基づき申告・納付した給与・賃金に係る個人所得税については、以下のとおりです。
- 月次または四半期の税務申告書を再提出する必要はありません。
- 調整は2026年分の年次確定申告書においてのみ行います。
また、経過措置により、2025年課税年度以前の扶養親族の登録期限および証明書類の提出期限については、政令第253号の施行前に有効であった規定が引き続き適用されます。
法的根拠:政令第253/2026/ND-CP号第70条(経過措置)。
注記:2026年7月1日より、通達第89/2026/TT-BTC号に基づき、給与・賃金所得に係る個人所得税の月次申告は正式に全面廃止されました。これに伴い、所得支払者である組織および個人は、従来の月次申告に代わり、四半期ごとの申告および年次確定申告を行うこととなります。




