2026年7月15日、政府は、労働および社会保険分野の違反、ならびに契約に基づき海外で就労するベトナム人労働者に関連する違反に対する行政罰を定める政令第283/2026/ND-CP号を公布しました。同政令は2026年9月10日に施行され、同日から政令第12/2022/ND-CP号を置き換えます(政令第283/2026/ND-CP号第66条第1項および第4項)。同政令は、強制社会保険料の「納付遅延」と「納付逃れ」を初めて明確に区分し、それぞれについて別個の罰則枠組みを定めるとともに、その他の各種違反に対する罰金を大幅に引き上げています。ベトナムで労働者を雇用するすべての企業が適用対象となります。
⚠️ 罰金水準に関する重要な留意事項:政令第283/2026/ND-CP号第7条第1項に基づき、本ニュースレターに記載するすべての罰金を含め、同政令に定める金銭的な罰金は個人に適用されます。組織に適用される罰金は個人に適用される金額の2倍ですが、同条に明記された一部の例外を除きます。したがって、企業については、以下で「最大7,500万VND」と記載する金額が、実際には1億5,000万VNDに達する可能性があります。個人事業世帯および世帯には、個人と同額の罰金が適用されます(第7条第3項)。
1. 労働者データの違法な売買:最大7,000万VNDの罰金
政令第283/2026/ND-CP号第10条第4項c号に基づき、労働者に関するデータベース内の情報およびデータ、または所管国家機関がまだ公表していない労働市場情報を違法に購入、販売、交換もしくは不正取得する行為は、刑事訴追の対象となる程度に至らない場合、5,000万VND以上7,000万VND以下の罰金の対象となります。
より低い水準の罰則にも留意が必要です。同一政令の第10条第2項に基づき、当該情報またはデータを違法に抽出、共有または利用する行為には、2,000万VND以上4,000万VND以下の罰金が科されます。採用もしくは人事機能を有する企業、または候補者データサービスを利用する企業は、利用するデータの入手元を慎重に確認する必要があります。
2. 労働者を欺く行為または労働搾取を目的とする採用:最大7,500万VNDの罰金
政令第283/2026/ND-CP号第11条第3項に基づき、労働者を欺くための勧誘、誘導、虚偽の約束、誤解を招く広告の掲載もしくはその他の欺罔手段、または搾取もしくは強制労働を目的とする労働者の採用は、刑事訴追の対象となる程度に至らない場合、5,000万VND以上7,500万VND以下の罰金の対象となります。この規定は、欺瞞的な採用実務を対象とするものです。企業は、求人広告の内容および候補者に対する約束を管理する必要があります。
3. 強制社会保険料の納付遅延:延滞額の12%から15%の罰金(第43条)
政令第283/2026/ND-CP号第43条は、納付遅延について以下の罰則を定めています。
(a)警告:行政違反調書の作成時点における違反額が40万VND未満の場合に適用されます(第43条第1項)。
(b)強制社会保険の加入対象となる従業員の未登録または不完全な登録:2024年社会保険法第28条第1項に定める期限の満了後60日以内、または当該60日経過後であっても法令上、保険料納付逃れに該当しない場合、影響を受ける従業員数に応じて罰金が科されます。従業員が10人未満の場合は500万VND以上1,000万VND以下であり、1,000人以上の場合は6,000万VND以上7,500万VND以下まで段階的に引き上げられます(第43条第2項)。
(c)納付遅延となっている保険料総額の12%から15%の罰金:行政違反調書の作成時点で算定し、上限を7,500万VNDとする罰金(第43条第3項)が、以下の場合に適用されます。2024年社会保険法第34条第4項に定める最終納付期限後も、登録書類に記載した金額を納付しない、または全額納付しない場合。ただし、2024年社会保険法第39条第1項dd号に定める場合を除きます。または、2024年社会保険法第35条に基づき納付を督促されたにもかかわらず、最終納付期限から60日経過後も納付しない、もしくは全額納付せず、かつ当該行為が保険料納付逃れに該当しない場合です。
是正措置:違反者は、登録を完了し、納付遅延となっている保険料を全額納付するとともに、当該延滞額および延滞日数に基づき計算した1日当たり0.03%の追加額を社会保険基金へ納付しなければなりません(第43条第4項)。
4. 強制社会保険料の納付逃れ:納付逃れ額の18%から20%というより高い罰金(第44条)
政令第283/2026/ND-CP号第44条は、納付遅延よりも大幅に高い、以下の2種類の罰則を定めています。
(a)強制社会保険の加入対象となる従業員の未登録または不完全な登録:2024年社会保険法第28条第1項に定める期限の満了から60日経過後に該当する場合、影響を受ける従業員数に応じて罰金が科されます。従業員が10人未満の場合は600万VND以上1,200万VND以下であり、1,000人以上の場合は7,000万VND以上7,500万VND以下まで段階的に引き上げられます(第44条第1項)。
(b)納付逃れとなった保険料額の割合に基づく罰金:強制社会保険料の納付逃れ総額の18%から20%、上限7,500万VNDの罰金(第44条第2項)が、以下の場合に適用されます。企業が保険料算定基礎となる賃金を、2024年社会保険法第31条第1項に定める水準より低く申告した場合、または2024年社会保険法第34条第4項に定める最終納付期限から60日経過後、かつ同法第35条に基づき納付を督促された後も、登録済みの金額を納付しない、もしくは全額納付しない場合です。ただし、当該行為が刑事訴追の対象となる程度に至らない場合に限ります。
是正措置:納付遅延の場合と同様に、違反者は、登録を完了し、納付逃れとなった保険料を全額納付するとともに、当該納付逃れ額および納付逃れ日数に基づき計算した1日当たり0.03%の追加額を社会保険基金へ納付しなければなりません(第44条第3項)。1日当たり0.03%は年率換算で約11%に相当するため、違反が長期間継続した場合、追加額が本来の罰金を大幅に上回る可能性があります。
主な相違点:納付遅延は通常、正確に申告しているものの納付期限を超過した場合をいい、12%から15%の罰金が適用されます。これに対し、納付逃れは、保険料算定基礎となる賃金を所定の水準より低く申告すること、登録を行わないこと、または督促後も納付しない状態を継続することをいい、18%から20%の罰金が適用されます。関連する構成要件を満たす場合、刑事訴追のために事件が移送される可能性もあります。
5. その他の留意すべき関連規定
納付遅延または納付逃れを反復して行った場合:政令第283/2026/ND-CP号第7条第4項に基づき、第43条、第44条、第45条および第46条、ならびに第42条第1項に定める違反が異なる時点で行われ、まだ処理されておらず、かつ処分時効期間内にある場合、違反者には1件の違反についてのみ罰則が科され、「行政違反の反復」という加重事由が適用されます。
失業保険にも対応する罰則を適用:同政令は、失業保険料の納付遅延について第45条、納付逃れについて第46条をそれぞれ設け、同様の罰則体系を定めています。企業は、社会保険および失業保険の義務を併せて確認する必要があります。
💡 企業が直ちに実施すべき対応
- 強制社会保険の加入対象となる従業員の全一覧を確認すること。2026年9月10日までに確認を行い、2024年社会保険法第28条第1項に従って、漏れなく期限内に登録されていることを確保してください。
- 社会保険料の算定基礎となる賃金を確認すること。2024年社会保険法第31条第1項と照合してください。所定の水準を下回る賃金を申告することは保険料納付逃れに該当し、18%から20%の罰金の対象となります。
- 未納の社会保険料および失業保険料を全額納付すること。特に、社会保険機関から納付督促を受けた金額について、「納付遅延」が、より重い罰則の適用対象となる「納付逃れ」へ移行することを防ぐため、速やかに納付してください。
- 企業に実際に適用される罰金は、同政令に定める金額の2倍であることを考慮すること。コンプライアンスリスクを評価する際は、第7条第1項を踏まえてください。
- 候補者および従業員データの入手元と利用方法を確認すること。人事および採用機能におけるデータを確認するとともに、求人広告の内容を見直し、虚偽の約束または誤解を招く広告が含まれていないことを確保してください。
本ニュースレターは、Crowe Vietnamが一般的な情報提供および参考のみを目的として作成したものであり、個別の状況に関する法務、税務または会計上の助言を構成するものではありません。本ニュースレターの閲覧時点において、法令が改正されている、または既に効力を失っている場合があります。読者は、特定の状況に本情報を適用する前に、原文の法令を確認し、Crowe Vietnamの専門家に助言を求める必要があります。Crowe Vietnamは、適切な専門的助言を得ることなく本ニュースレターに記載された情報に依拠したことにより生じたいかなる損失についても責任を負いません。




