2026年7月9日、税務局は、省・市税務当局、電子商取引税務支局及び大企業税務支局宛てに公文書第4697/CT-CS号を発行し、関連者関係を有する企業の関連者間取引に係る税務管理を定める政令第255/2026/ND-CP号の主な変更点及び施行内容を示しました。
政令第255/2026/ND-CP号は、2026年6月30日に政府により公布され、2026年7月1日(税務管理法第108/2025/QH15号と同じ施行日)から施行されます。また、2026年法人所得税課税年度から適用されます。同政令は全4章24条で構成され、政令第20/2025/ND-CP号により改正・補足された政令第132/2020/ND-CP号の内容を概ね継承しつつ、行政手続の簡素化、OECD基準との整合及び納税者のコンプライアンスコスト削減を目的としています。
以下は、公文書第4697/CT-CS号の付録において税務局が取りまとめた、注目すべき10の変更項目です。
1. 適用原則(第3条)
税務当局による移転価格の管理及び調査に関する原則は、税務管理法第108/2025/QH15号第6条第4項の税務管理原則及び同法第22条第1項の税務調査原則を参照する形に改正されました。
2. 用語の定義(第4条)
グローバルな税源浸食防止ルールに基づく追加法人所得税に関する決議第107/2023/QH15号及び同決議を施行する政令第236/2025/ND-CP号を参照し、「最終親会社」及び「租税条約」の定義が追加・整備されました。また、「関連者間取引」、「ローカルファイル」、「マスターファイル」及び「情報交換が制度的に行われない状態」の各用語も見直されています。
3. 関連者関係(第5条):企業にとって最も注目すべき変更点
資産の借入れ及び貸付けに起因する関連者関係が追加されました。第5条第2項l号に基づき、課税年度中に、所有者拠出資本の25%以上の移転または受領を伴う取引を行う場合、または取引発生時点の所有者出資額の10%以上に相当する金額について、企業を経営若しくは支配する個人、又は同項g号に定める関係を有する個人との間で、借入れ、貸付け、資産の借受け若しくは貸与を行う場合、当該企業は関連者関係を有すると判定されます。
従来、企業とその企業を経営又は支配する個人との間における資産の借入れ・貸付けを通じた関連者関係は規定されていませんでした。今回の追加は、実務上の問題を解消し、当該取引の実態をより適切に反映するものです。
関連者関係を適用しない新たなケースが追加されました(第5条第2項d.3号)。債権者又は保証人が、国家が定款資本の100%を保有し、債権の売買・処理機能を有する組織であり、債務企業又は被保証企業の経営・支配、出資又は投資に直接若しくは間接に関与していない場合が該当します。このケースは従来規定されていませんでした。
4. 移転価格の申告、算定及び管理に使用するデータベース(第17条)
- 商用データベースの定義は、税務管理法第108/2025/QH15号第4条第15項を参照する形に改正されました。
- 利用可能なデータソースとして国家データベースが追加され、納税者及び所轄当局が利用できる信頼性の高いデータの範囲が拡大されました。
- 税務当局のデータベースに関する規定は、税務管理法第35条第2項に従って改正されました。
- データ利用の優先順位が新たに定められました(従来は未規定)。(i) 公開データベース、(ii) 商用データベース、(iii) 税務当局のデータベースの順に使用します。ただし、関連者間取引の分析及び比較可能性検討に関する原則を引き続き満たす必要があります。
5. 納税者の権利及び義務(第18条)
移転価格の申告及び算定に関する納税者の権利・義務は、税務管理法第108/2025/QH15号第37条第1項及び第2項に基づきます。移転価格文書の作成を代行する者について、「税務手続サービスを提供する会社」という表現が「税務手続サービスを提供する組織」に変更されました。
6. 国別報告書(CbCR)(第19条)
本項は最も大幅に改正された規定群であり、OECDのBEPS行動13に準拠しています。
- 基準額の判定基礎:報告年度の直前事業年度における全世界連結売上高を基礎とします(従来は課税年度における全世界連結売上高を基礎としていました)。
- 売上高基準:7億5,000万ユーロ相当額以上(従来は18兆VND以上)とされ、為替変動に対応する内容となりました。
- 換算為替レート:ベトナム国家銀行が公表する中心レート又は12月の平均クロスレートを一貫して適用します(従来は未規定)。
- ベトナムでCbCRの提出が不要となる場合:権限ある当局間合意に基づき当該報告書がベトナム税務当局へ自動交換されている場合、明確化された要件を満たして代理提出主体を利用する場合、または国・地域間における売上高基準、換算通貨もしくは売上高算定原則の相違により新たな例外が適用される場合。
- ベトナムでCbCRの提出が必要となる場合:最終親会社が居住地国において報告書を作成・提出する義務を負わない場合、代理提出制度の要件を満たさない場合、又は情報交換が制度的に行われない状態が発生し、その旨が納税者へ通知された場合です。さらに、ベトナムが情報の機密保持、一貫性及び適切な利用に関する要件を満たす場合に限り、納税者はベトナムでCbCRを提出する義務を負うという原則が追加されました。当該要件の充足状況は、税務当局のウェブサイトで公表されなければなりません。
- 形式及び提出方法:報告書は暗号化されたXML形式で、税務管理情報システムを通じて提出しなければなりません。
- 提出期限:報告年度に係る最終親会社の事業年度終了日から12か月以内。
- CbCR提出主体の届出:様式第01/TB-BCLN号が政令と併せて公布されます。政令施行後に初めて提出義務が生じた際に一度のみ提出し、期限は報告年度に係る最終親会社の事業年度終了日までです。CbCR提出義務の終了を含め、情報に変更が生じた場合は、変更日から90日以内に更新届を提出しなければなりません。最終親会社から代理提出主体として指定された納税者は、報告書を作成・提出するとともに、指定書面を添付した届出を税務当局へ提出する責任を負います。
7. 移転価格文書作成免除要件の拡大(第20条第2項c号)
売上高基準が5,000億VND未満へ引き上げられ(従前は2,000億VND未満)、「単純な機能を担う事業」という要件が削除されました。
従前、免除を受けるためには、納税者が次の4要件をすべて満たす必要がありました。(i) 単純な機能を担う事業であること、(ii) 無形資産に係る収益もしくは費用が発生せず、または無形資産を使用していないこと、(iii) 売上高が2,000億VND未満であること、(iv) 各業種所定の純利益率を達成していること。今回の変更により、文書作成を免除される低リスク納税者の範囲が大幅に拡大します。
8. 税務当局の責任及び権限(第21条)
- CbCRを移転価格調整に使用してはなりません(第21条第1項c号)。従来は、CbCRを価格の決定に使用してはならないとのみ規定されていました。CbCRは、リスク管理及びベトナムの国際的な約束に基づく情報交換の目的に限り使用できます。
- 第21条第10項に自主的コンプライアンス支援に関する規定が追加されました。これは、違反の発見、調査及び処罰を重視する「リスク管理」モデルから、納税者を中心とする「コンプライアンス管理及び支援」モデルへの移行を示しています。これにより、税務当局は、リスク管理に基づく自主的コンプライアンス支援プログラムを策定・実施し、申告データに基づき業種、地域又は納税者グループ別の利益率を公表し、プログラム参加納税者によるコンプライアンス向上及びリスク低減を支援するとともに、納税者から提供された情報及びデータの機密性を保持します。
9. 各省、閣僚級機関および省級人民委員会の責任(第22条)
一部の省庁名が更新され、組織再編後の新たな機能および責任に整合するよう、関連者間取引を行う企業の税務管理に必要な広報連携、情報提供、ならびに各分野のデータ接続・共有に関する機能および責任が見直されました。
10. 経過措置(第23条第3項)
2025年2月10日付政令第20/2025/ND-CP号第3条に基づく支払利息の経過措置の対象となる企業は、政策の継続性及び納税者の権利を確保するため、残存期間について同条に従い当該措置を引き続き適用できます。




